目に見えない放射能震災から半年以上経っても、未だ収束の兆しが見えない原発問題。
それどころか、都内で局所的に放射線量の高い
ホットスポットが至る所で発見されるなど、
いよいよ放射能汚染の恐怖は
東京にも及び始めたか、と危惧されるまでになってしまいました。

皆さまも「かといってどうすることも出来ないし、
取り敢えず普段通りの生活を送っている」
方が多数を占めているのではないでしょうか。
これまでにも、ニュースや政府系機関からの報道などで
「直接、人体に影響を及ぼすレベルではない」という表現が
幾度となく報じられてきました。
「それでは、どの程度だと人体に影響が出るのか」
お知りになりたい方も多いのではないでしょうか。              

そこで今回、この表現にスポットをあて、
この言葉の意味するところを紐解いてみようと思います。

先日、西東京市歯科医師会に主催していただきました、
学術講演会に参加してまいりました。(Photo.1)
講師を務めて頂いたのは、
東京医科大学放射線科主任教授の徳植 公一先生です。
東電や政府寄りでない放射線の専門家の講演ということで、
医師会の先生方も多数参加され、会場は熱気に溢れていました。

徳植先生のお話を極々要約しますと、
「日常生活で注意すべきことは特にない」そうです。
どういうことでしょうか。
分かり易く言いますと、放射線の人体に対する影響には
「確定的影響」と「確率的影響」があります。
確定的影響とは、「これ以上(の放射線量を)浴びると、
大多数の人が生じるであろう影響、いわゆる閾値が存在します。
代表的なものとしては放射性皮膚炎、放射性粘膜炎、
そして白内障や不妊症などです。
それに対し確率的影響とは、
放射線を浴びたことにより起こりうる影響のことで、
上記に記した閾値なるものが存在しません。
代表的なものが放射線誘発癌です。

これだけでは何を言おうとしているのか
分かりづらいかもしれません。
皆さんがお知りになりたいのは
「どれだけ(放射線を)浴びると癌になるのか」だと思います。

100mSv浴びただけでも癌が発生する人もいるかもしれませんが
その10倍浴びても出来ない人もいるでしょう。

このことが「確率的影響」なのです。

もっと解りやすく例えて見ましょう。

お酒の強い人は日本酒を一升飲んでもけろっとしていますが
弱い人はお猪口一杯で酔いつぶれてしまいます。

強い人でも流石に一升瓶を10本飲んだら、急性アルコール中毒で
致死量に達するのは誰が考えても明らかです。

この「どんな人でも致死量に達する」のが閾値なのです。
放射線の人体への影響には、影響があることは解明されているものの
この閾値が明確にあることが立証されておりません。
(仮説は色々と検証されております)

例え僅かでも、その確率がゼロでなければ
「全く影響がない」とは、我々医学者の立場からは言えません。
ただ、その確率は「限りなくゼロに近い」のです。

また「放射線被爆」を語る上で、
数値と単位を抜きにしては語れません。

我々は日本国内において、日常的な生活を営む中で
年間で1mSv程度の放射線を浴びている計算になります。

この放射線量は、東京→ニューヨークを飛行機で2往復半した際の
被爆線量に相当します。
ですから、マイルを溜め込むことに情熱を注ぐマイラービジネスマンや
旅行好きの方は、マイル並みにそれと相当量の放射線を
溜め込んでいることになります^^

例えば報道では度々セシウムが話題になりますが
何故ヨウ素は問題視されないのでしょうか。

それはヨウ素は半減期(放射線量が半分に減る期間)が8日と短く
そしに対してセシウムのそれは30年と極めて半減期が永いからです。

しかしそれは大気中や土壌に拡散したものの半減期であって
仮にその食物を摂取したからといって、セシウムが30年も体内にとどまり
内部被爆を継続するのかといわれると、その答えは NO です。

セシウムの生理学的半減期(体内に取り込んでしまった場合の半減期)は
およそ110日なのです。

仮にもし内部被爆したとしても4ヶ月もすれば、
大半のセシウムはなくなってしまうということです。

今現在の東北産の野菜や食肉などの市場に出さずに
自主回収する基準は食物によってもその差はあるものの、
およそ1キロ当たり500ベクレルですが
日本大学歯学部歯科放射線科の川嶋祥史、
本田和也両先生の報告によりますと
1キロ当たり、基準値のおよそ8.5倍の4350ベクレルの牛肉を
仮にもし摂取したとしても、内部被爆する数値に換算しますと
その値は僅か0.012mSvに過ぎません。

ということは、これだけ高い値を示す牛肉を
丸々1頭を一人で摂取したとしても^^
(実際にはそんな大食漢はそうそういませんが。
いたとすれば体より先に財布が悲鳴を上げそうです^^)
海外旅行のほうが遥かに危険だということになります。

福島第一原発の炉心が溶融、爆発し、その作業に当たられていた
作業員の方々の被爆限度量が一気に2.5倍に引き上げられたため
多くのマスコミがこのことを取り上げました。
また各省庁によっても、この限度量がバラバラであったため
必要以上の混乱を招きました。
元々、日本の被爆限度量というものは極めて低く設定されており
作業員の限度量が100mSv(ミリシーベルト)から250mSvに
引き上げられたからといって、人体に対する影響は
本当に「直ちに影響を及ぼすものではない」ということであります。

更に更にわかりやく言いましょう^^
今回の被爆限度の10倍の1000~2000mSvの放射線をもし浴びたとしても
それ以上に喫煙による発ガン率のほうが危険性としては遥かに高いのです。
(参考文献  日本経済新聞 2011.4.25)

以上のことから、必要以上に懸念する必要は全くないし、
個人的な対策は何も行っていない、というのが徳植先生のご見解でした。

この世の中に毒でないものはありません。
例えどれほど優れた薬であっても、
用法、用量を誤ればそれは毒になってしまいます。

それが毒になるのか、薬になるのかは、
放射線も含めて量と気の持ち方で決まるのです。
お酒もね^^

放射線を気にし過ぎていては、
のんびり温泉にも浸かっていられません^^し、
そのほうが体に悪い気がします。

以上のことから、私も今後は必要以上に
慌てないようにしたいと思います。

長生きしたいなら
・タバコをやめて
・交通事故に遭わないように注意して
・適度な運動を欠かさずに
・深く考え込まず、楽しく生きる
・ワインは白より赤を^^(体内被曝した放射線を吸収する効果あり)

今後は東北産の食物も積極的に摂取し
一刻も早く、日本全体がもとの元気な生活に戻れるよう
ほんの少しでも力になれるよう、頑張っていきたいと思います。

人生は同じ生き方でも、考え方一つで全く違ったものになります。
ならば、楽しく生きたほうが断然良いと思いますがいかがでしょうか。