祇園に突撃私は人としての、厚みのある人物になることを目指しており、
そうなるために自分の知らない、
分からない事に常に貪欲にチャレンジする心構えを大切にしております。

京都には、実に1200年以上に及ぶ都市としての歴史があります。
それに比べますと東京はメトロポリスとしての歴史は僅か400年に過ぎません。
街の至る所に情緒や独特の美しさを感じることが出来るのは
遥か平安の時代より脈々と受け継がれてきた
伝統、文化があるからにほかならず、
その中に今の私が感じ取るべき、学ぶべき事が山ほどあります。

皆さまも京都に訪れた機会は多々あるかと思いますが
祇園辺りを散策されたご経験はありますか?
祇園のメインストリート、花見小路を一本路地を入りますと
「会員制」とか「一見さんお断り」の注意書きのある町屋さんを目にします。(Photo.1)

一見すると家なのかお店なのかすら判別がつかないほど
控えめな佇まいのお店ばかりが連なります。(Photo.2)

「いったいあのドアの向こうには、何があるのだろう?」

時代劇でしか見たことのない光景の
非常に閉ざされた世界に興味を持つようになったのは
はじめてこの小路を歩いた際
いかにも越後屋伝兵衛(ちょっと古いですかね?)
といった感じの着物姿の恰幅の良い初老の旦那衆と舞妓はんが
手馴れた様子でそのドアの向こうに消えていくのを見かけてからでした。

程なくすると、その料亭の2階のお座敷からは
艶やかな三味線の音色と
品のある京都弁での愉しげな会話が聞こえてくるのでした。

あぁ、そういうことか。何とも優雅だなあ。
私もいつの日か、あの敷居をまたいでみたい、暖簾をくぐってみたい。

そう思ったのが京都に、祇園にハマッたきっかけです。

「京都では、人の繋がりがものをいう」

京都では、永きにわたり護られてきた暗黙の仕来たり、決め事があります。
社会的地位や経済力もさることながら、人と人との繋がり、
お互いの信頼関係が何よりも尊重される世界なのです。

「一見さんお断り」のお店からすれば
そのお店に永いことご贔屓にして足繁く通ってくださる常連さんに
気持ちよく過してもらえることを何よりも大切にします。
ですから同じお客さんでも、常連さんと一見さんでは
当然その扱いは全く違ってまいります。
大抵の名のある名店では、「お決まり」という、季節に合わせたコース料理が基本となります。
「本来、料理とは好きなものを好きな順番で食するのが尤もなのである。
コースなどというのは、店の都合で店が楽したいシステムに過ぎない」
このように主張する料理評論家も少なくないと思います。
私もかつてはそう思っておりました。
東京だったらその理論がまこと然りでしょう。

でも京都は違います。
季節のものを、最高に美味しい状態で供したい。
京都で美味しいのは何も和食に限りません。
イタリアン、フレンチ、中華、はたまたB級グルメに至るまで何もかもが美味しい。
そしてこれらのお店に共通するのが
「季節の食材をあまりいじらずに、最大限活かす」ということです。
2,3日も京都で立て続けに食事をしてますと
「ある共通点」があることに気付きます。
春先ですと筍、牛蒡、
今回訪れました夏ですと何といっても鱧、鮎、鯛、
万願寺唐辛子、トマト、あと何故か南瓜。
そしてこれからの時期はグジ(赤アマダイ)、松茸、栗などなど。

そう、使用している食材が料理のジャンルに拘らず、ほぼ共通しているのです。
まるでお店同士で「今日はこれを出す」と決めていたかのように。
(厳密に言いますとお店ごとで各々特徴はありますが)

実際にはそうではなく、季節々々で美味しい料理を供するとなると
使用する食材・調理法は、ある程度限られてくる、ということなのでしょう。

季節の食材を最高の状態で食していただくためには
食材の調達、下ごしらえ、出汁、味付け、調理
そして盛り付けと気の遠くなるような膨大な手間がかかります。
暖かいと美味しいものは暖かい状態で、
冷たいのが美味しいものでは冷たい状態で提供するには、
料理人はまさに時間との戦いです。

そのためには食材の調達、下ごしらえ、出汁、味付け、調理
そして盛り付けと気の遠くなるような膨大な手間がかかります。
暖かいと美味しいものは暖かい状態で、
冷たいのが美味しいものでは冷たい状態で提供するには、
料理人はまさに時間との戦いです。

6時に予約したら、お店はその人が6時に来店することを見越して
献立の段取りをしています。

多くの京料理のお店ではただ食事をする行為にとどまらず
設え、調度品、装花、香、器など
全てにおいて「茶の湯の精神」に基づいており
心尽くしの一連のもてなしの「心」全てを味わうことが
京都の醍醐味であります。

ですから、おもてなしの心の理解出来ない、
予約した時間を守らない、
店の雰囲気と調和しない大声で騒いだり、
生半可な薀蓄を語りだしたり、
意味もなく威張り散らしたり。
永いことかけて培ってきたお店の雰囲気を壊してしまう、
興醒めしてしまうようなイレギュラーな人は迎えたくない、
というのがお店側の想いなのでしょう。

「一見さんお断り」の意図は
謂わば品格を損ねないために
そのような「筋の悪い」客の出入りを
未然に防ぐためのものなのでしょう。

ですから、逆に言えば京都の、またお店の仕来たりをきちんと守り
雰囲気を壊さない「筋のええお客さん」であれば
このような時代ですから尚更
受け入れてくださるお店は意外に多いものなのです。

「人づてって言うけど、しょっぱなの切欠はどのようにしたら良いの?」

キーパーソンは、タクシーの運転手さんです。
京都はタクシーが庶民の足代わりで、
東京に比べますとタクシー料金が驚くほど安いです。
また、小型と中型という分類があり、小型タクシーというのは
こちらで言うごく一般的なタクシーを指します。
そして中型タクシーとは、こちらで言いますハイヤーを指します。

ここでポイントがあります。
お店探しには、迷わず中型タクシーに乗車してください。
ハイヤークラスの高級車に乗っている運転手さんは
大抵、名店といわれる店主や女将の御贔屓だったりすることが多く
様々な独自のネットワークをお持ちになっています。

その際に
・どのようなジャンルで
・どれくらいの予算で
を伝えておけば、希望に沿ったお店を紹介してくれるでしょう。

これが京都のネットワーク作りの第一歩になります。
ここで紹介されたお店でお行儀良く^^食事していれば
退店時に板前さんないしは女将さんがご挨拶に来てくださいます。
その際にさり気なく聞いてみましょう。
「もうちょっと呑みたいのですが
近くで静かに飲めるお勧めの場所はありませんか?」
もし、そのお店に気に入られたなら、
きっと希望通りの素敵なお店を紹介してくれることでしょう。

そうやって、ネットワークを拡げていくことこそが、京都遊びの醍醐味。
写真

祇園に突撃で、行き着いたのが祇園にあります「川上」さんです。
(Photo.2&Photo.3)

「祇園 川上」http://gion-kawakami.jp/
非常にセンスの良いHPです。

祇園の中でも名店中の名店として名高いお店ですが
ご覧の通り外見では何のお店か、全く判断できません。
京料理界の重鎮、先代松井新七さんが1959年に店を出し
現在は3代目の加藤宏幸さんがお店を切り盛りしてらっしゃいます。
「川上」さんにつきましては、今月発売の家庭画報に
紹介記事が掲載されるそうです。是非ご覧ください。

ン?何でご主人が松井さん、加藤さんなのに店名が「川上」さん?
 
その秘密をお知りになりたい方は、是非院長まで^^。

このお店の名物は、プリンのようにフワッフワに炊いた「宝楽焼」。
季節によって具材が変わり、今回は季節的に少し早めの松茸と
夏の京都を代表する食材、「鱧」。
略して「はもまつ」。
素材から滲む、滋味溢れる旨味と芳醇なかをりを醸し出しておりました。
(川上さんはお料理の写真をアップできません。詳細は家庭画報をご覧ください。)

この宝楽焼は、私が今までに食したものの中で
文句なく美味しかったものベスト3に入る逸品です。
「これを食するだけのために、わざわざ旅行するだけの価値のあるもの」
であります。
ご興味がおありの方は、是非院長まで^^
最高に愉しい京都の旅をご紹介いたします。

川上さんで日本料理の真髄を堪能したあとは、加藤さんのご紹介で伺った
BAR サンボアへ。(何とお仕事中にも拘らず、ミシュランのスターシェフ直々に
祇園の道案内をしていただきました!!何という贅沢の極み。)
詳しい紹介 >> こちら

お盆のど真ん中にも拘らず、観光客でごった返す昼間と違い
夜の祇園は静寂に包まれています。(Photo.4)
はんなりと、緩やかで贅沢な大人時間を過してまいりました。

次回のブログでは、
京都旅行の続編として、
「京の奥座敷、貴船で涼しげに川床料理にありつく」を掲載いたします。
お楽しみに。

おもてなしの心、それは「茶の湯の心」に通じます。
そんな誰もが「ほっこり」出来る、おもてなしの心を胸に秘め
本日も診察にあたります。